冬季うつ病 〜冬太りは光で解決
冬のシーズンはご馳走を食べる機会も多いし、寒くて何をするのも億劫。多少太るのは当たりまえ。そう自分を納得させてはいませんか。それはもしかしたら病気のサインかもしれません。
■季節限定で発症する「うつ病」
脳機能障害のひとつに、決まった季節にうつ病に似た症状おこる「季節性情動障害(Seasonal Affective Disorder)」という疾患があります。このなかで冬のシーズンに発症するものを「冬季うつ病(Winter Depression)」と呼びます。
■見逃してしまいやすい症状
冬季うつ病の症状は通常のうつ病とは違います。なかにはまったく反対の症状もみられ、冬場の生活習慣と混同してしまう可能性もあって、ついそのまま見逃してしまいやすいので、注意が必要です。
- 冬季うつ病の症状
- ・食欲が増して体重が増える(甘いもの、炭水化物がほしくなる)
- ・体がだるく、何をするのもおっくうになる
- ・集中力がなくなる
- ・睡眠時間が長くなる
- ・何にも興味をもてなくなる
- ・自分をせめる
■原因
日光にあたる時間が短くなることでおきる、2種類の脳内ホルモンの分泌量の変化によると考えられます。
メラトニン
脳の松果体から分泌されるホルモンのひとつで、夜に分泌されて睡眠を促進し、昼夜のリズムを整えます。その分泌量は目から入って網膜に届く光の量をもとにを決定され、光の量が減るほどメラトニン分泌量が多くなって睡眠を促進させるのです。通常では午前2時ごろにもっとも多くなります。また一度の光が目に入ると15時間程度経過しないと再度分泌されないという性質があり、この特徴が体の一日のリズムを整える働きもしています。
しかし冬になって日照時間が短くなったり、戸外での活動が減って感じる光の量が少なくなると、メラトニンが過剰に分泌されて睡眠時間が長くなるといったことがひきおこされます。また、この反応は光が人工のものであっても同様に作用するため、本来暗く感じるべき夜間に目から強い光を感じていると、今度は逆にメラトニン分泌が抑制されて深い眠りを得られなかったり、睡眠のリズムじたいが狂ったりということもおきてきます。
こうなりますと、疲れがとれずにだるさが抜けない、人付き合いがおっくうになる、集中力がなくなる、物事への興味も薄れてしまう、性欲が低下する、ということになるのです。
セロトニン
メラトニンとは逆に、目から光を感じると生成される神経伝達物質の一種です。精神を安定さたり、「満足」という感覚を与える働きをします。感じる光の量が減ってこの分泌が不足すると、感情のコントロールがきかなくなって依存症、うつ病をひきおこしたり、食欲に歯止めがきかないといった症状があらわれます。
またセロトニンの材料となるのはビタミンB6とトリプトファンという物質で、トリプトファンは、糖質の助けで吸収されるので、
セロトニンの不足→トリプトファンの吸収を促進 →体が糖分や炭水化物を必要以上に摂取→太る
というサイクルとなり、これが冬に起きるわけですから「冬太り」となるわけです。
■対処の基本は「光をあびる」
冬季うつ病の場合は、メラトニンの過剰も、セロトニンの不足も原因はひとつ、「網膜への光の不足」です。生活時間や体のほかの反応のうえでも「自然光」をたくさんあびることができればベストですが、人工の光であっても2500〜3500ルクスほどの強い光を浴びることでも改善することができます。
【対処】
- ・早寝早起き
- 当たり前のようですが、早く暗くなる冬はより早く就寝し、少しでも光を多く感じるためにも明るくなったら早く起きるとの心がけが望ましいでしょう。
- ・日中にできるだけ日光をあびる
- 晴れている日にはできるだけ、休憩時間のちょっとした隙間にでも、戸外にでて日の光を浴びましょう。
- ・セロトニン生成によい食事
- ビタミンB6とトリプトファンが多く含まれる食品を意識してとるとよいでしょう。
トリプトファン豊富な食品:赤身の魚、肉類、乳製品、大豆製品、バナナ、きな粉など
ビタミンB6が豊富な食品:まぐろ、さんま、さけ、レバー、豚肉、豆類、バナナなど
※ビタミンB6はとりすぎると不眠などを起こすおそれがあります。(詳細はこちら→) - ・高度照度光療法
- 睡眠障害などの治療にも使われる療法。一定時間2500〜3500ルクスほどの光をあびます。
■おかしいと思ったら心療内科へ
生活の改善による対処は、健康的な内容ですから「冬季うつ」の診断がなくても心がけるとよいものです。しかし症状をつらく感じる、生活に支障をきたす、治る気がしないといった心配があれば、迷わず心療内科で相談することをおすすめします。もし「冬季うつ」と診断されても、高度照度光療法を受けるなどで充分に改善を期待できます。
■いつかは必ずなおるもの
「冬季うつ病」は季節限定の病気であり、春がくれば必ず治りますので、必要以上に心配することはありません。
しかし楽しいイベントも多い冬のシーズン、つらい思いをするより、楽しく充実して生活を送るためにも、きちんと診断をうけ、治してしまいたいものです。
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